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先日、埼玉県でとある男性が公然わいせつの罪で逮捕されたというニュースを見ました。
何でもこの男性、スーパーのレジ付近で自身の下半身を露出させた容疑で御用となったようです。
それだけなら（残念ながら）よくある変態の事件かと思いますがこの男性が取り調べの際に発したとんでもない言い訳がネットを賑わせているようです。
それは「ズボンとパンツが勝手に落ちた」というものです。 「被害者の嫌がる顔が見たくて・・・」などというのが通常の（？）露出狂の言い訳の最たるものですが、まるで自分が被害者のごとき「ズボンとパンツが勝手に・・・」などという言葉は聞いたことがなく、聞かされているこちらが「それなら仕方ない」と思わず納得してしまいそうになる謎のパワーがあります。
それにしても世の中、不都合な事態を言い訳するためにとんでもない言葉を発する輩がいるものですが、私が若かりし頃、働いていた職場で、遅刻してきた言い訳に「電車とホームの間に落ちたため、遅れました」と言い張る人が話題になったことがありました。
私が直接その言い訳を聞いたわけではありませんが、それにしてもありえそうもないことを堂々という人がいるものだと笑ってしまい、へたな言い訳だと呆れもしました。 しかし別の会社に勤める数人の友人たちに聞くと、何人かは同じ言い訳を聞いたことがあるらしく、あれ？実は世の中に良くある話なのか？と思い直すようになっていきました。 決定的だったのは、ある時主人が家に帰るなり「いや～、今日はヒヤッとする光景に朝から出くわしたよ。電車が駅で止まっているとき、電車とホームの間に人が落ちて、周りの人が慌てて助けたんだ」と言ったことです。
驚いて聞き返すと、そのとき電車とホームの間にかなりの間が開いており、多くの人は足元に注意しながら電車の乗り降りをしていたのですが、一人全く足元を見ていなかったらしい人がいきなり吸い込まれるように間に落ち、上半身で止まったのだとか。
慌てて周囲の人がその人を持ち上げ、事なきを得たのだそうです。
「そうだったんだ。落ちた人も周りの人も、驚いたでしょ」というと「いや？みんな冷静に助けて、その後も何にもなかったように電車に乗ったりしてたよ」というからまたびっくりしました。 どうやら「電車とホームの間に落ちる」というのは私が知らなかっただけで、かなり世の中で頻繁に起きていることらしく、それまでの世間知らずを反省しました。
と同時に、いつかの遅刻してきた人も、へたな言い訳どころか事実を伝えていたのかもしれないと思い、心の中でそっと謝りました。
さて、ひとしきり自分の過去を回想して今回の露出狂事件を見てみると、へたな言い訳としか思えない言葉もやけに真実味を帯びて聞こえてくるから不思議です。
普通はあり得ませんが、本当にたまたま運悪く、ズボンとパンツが勝手に落ちてしまっただけかもしれません。
この男性はすでに逮捕されたようですので、言い訳は認められなかったということでしょう。 逮捕された以上はしっかり反省して、二度とひと様に迷惑をかけないようになって欲しいものですが、「そんなこと起きるわけがない」と思っていたことが意外に多いと知ったことのある私としては、現実味のない言い訳の中にも、もしかしたら真実があるかも・・・と考えてしまうのでした。
